「保存版」税務調査 なんであなたは調査対象になったのでしょうか?2

ロ 国税総合管理システム

 申告書が、紙面で提出されていた時代には、法人であれば、全ての申告書に目を通し、申告・決算・効率の趨勢、同業者比較を行って、これに引っかかった場合に、調査対象に選ばれていました。しかしこれらの情報を基にしても最後は、税務調査官の職人としての目やカンに頼っていました。

 現在は、電子で申告されたものはもちろん、紙面で申告されたものも入力されるとともに、情報も入力され、調査官の職人の目やカンに替わって、国税総合管理システムにより税務調査対象者の選定が行われています。

   どんな方が調査先として狙われるのでしょうか?

  • A申告内容の異常性があるところ:

①収入や経費の金額が前年と比べて大幅に変化している場合

 収入や経費が大きく変動している場合、つまり突然儲かったり、あるいは利益が少なくなっていた場合です。当然に理由があるはずです。一時期、持続化給付金などの大型の給付金がありました。こういった経常性のないものが生じた場合、申告書に記載しましょう。所得税青色申告決算書の場合、3ページ目 「本年中における特殊事情」などに記載します。法人の場合、事業概況説明書の裏面 19 「当期の営業成績の概要」に記載しておく、といったテクニックが必要です。ビジネスモデルが急に変更になった場合なども考えられます。例えば、こんな事例を想定します。自前の従業員がたくさんいて、たくさんの現場を同時に回している足場屋さんがいたとします。これが、何らかの理由で、従業員が大量に離職します。この場合に、仕方がなしに大量の交際費・広告費を使って求人(リクルート)しましたが、実を結ばず、現場を回すために仕方なしに外注費を大量に使って仕事をします。この場合、突然に経費構造が変化し利益が少なくなります。これは正当な理由があるので、特殊事項や事業概況に記載すれば事足ります。

②一貫性のなさそうな申告内容やきりのいい数字で申告している場合

 申告について場当たり的に適当ししているケースは問題です。過去の申告書と連続性の少ない一貫性がない決算内容の場合、いい加減に書いてある可能性が高いため調査に行ってみようというやる気がおきがちです。またラウンド数字(100万円・50万円)というきれいな数字が記載してある申告書も要注意です。通常は、1円単位で積み重ねた場合、62,346円などと細かい数字になることが多いです。それが、きりのいい数字で記載があった場合、適当に書いたのでは??という疑いをもたれることになります。

③同業他社と比べて異常に高い経費計上をしている場合

 異常性のある取引について、国税もよく見ているため、このような事業者には調査に入ることが多いです。ただし、こちらも同じく経常性がない突発の話であれば、申告書上に記載しておくというテクニックもありです。また個別事業で業界平均が通用しない特殊な事情が存在する場合、税務代理権限証書 30条の2(書面添付制度) を使って税理士に特殊事情について説明文書を記載してもらうという手法もあります。

 ④売上が900万円台または、4900万円台でを毎年申告しているケース

 消費税対策のために売上を1000万円または5000万円を超えないように調整して働いている個人または法人に多いです。意図的に働かないようにしていることがほとんどですが、売上の計算方法に間違いがあると、容易に1000万円あるいは5000万円を超えてしまいます。その場合、消費税が不利な計算方法を強いられるため注意が必要です。明らかに1000万円を超えているにも関わらず、1000万円未満で申告したというケースもきいています。この場合、重加算税というペナルティをもらうことになりますのでご注意ください。特に900万あるいは5000万近辺の場合には、税理士に依頼してミスのない申告を心がけるほうがベターでないかと思います。

 ⑤そもそも申告していないから狙われた(無申告)

 開業したての個人事業主の方や、新設法人に多いのは、そもそも税金は、誰かが勝手に計算してくれて収めるものというご認識の方もいらっしゃいます。

社会常識として、申告しなくちゃダメということを教えてくれる人が身近にいなかったという不幸な例もあります。日本は開業した場合や、土地や家屋を売った場合、暗号資産の譲渡や交換を行った場合などなどいろいろなお金にまつわる経済活動について、申告する必要があります。

 詳しくは割愛しますが、申告したことがないまたは過去には申告していたがめんどくさくなってやめてしまった場合など、無申告者になっているケースがあります。これらについて、税務署は預金の動き、よそに税務調査に行ったときに取引先情報を集めている際に無申告者の情報を探しているなどと言われています。また保険会社・金融機関・証券会社・取引所など情報提供が法令で義務図けられている場合、税務署に情報が集まってきます。これらの中から申告していない人を探し出します。